INTRO

人の話を聞かない男たち、人の話を聞けない男たちの一夜の時代!


2002年、冬。数年ぶりで大竹野さんの芝居の現場に戻ると、なんだか男優陣が浮かれている。
別の作品の稽古後の飲み会なのに、そこかしこでウキウキと、空想再演のキャスティング会議が開かれていた。
聞けば2年前に上演された作品が、男優陣の心を掴まえ続けているのだという。
大竹野さんがいた時も、そして旅立ってしまった後も、様々な人たちの間で、何度も何度もキャスティング会議は開かれていたのだ。

オフィスコットーネのプロデューサーの綿貫凛さんも、大竹野作品に心を掴まれて東京で公演して下さった。
くじら企画では、2015年にリーディングでの公演を行った。
魚クラブでもこの作品を演る予定らしい。

15年もの間、皆の心にくすぶっていた火種に火が点き、飛び火をし、燃え広がったのです。
くじら企画のスタッフが総力を上げてお送りする、劇場での「屋上のペーパームーン」を是非ご覧頂きたいと思います。

この火が消えないように
また新しい火が貴方の心に点くことを願って。
林 鈴美(プロデューサー)


メメント・モリ

遅かれ早かれ私も死ぬ。この世に生を授かれば必ず土か海に還る。
なんだか最近、死を想うことがちっとも怖ろしいことではない。
なんでだろう、と思う。何人もの大切な人たちを見送ってきたからだろうか。
大竹野さんは、土の匂いも海の匂いも、
どちらも等しく放っていた稀有な人だった。匂いと書くより臭いだろう。
都会の、しかもビルの屋上を舞台にしたって、
土と海の臭いがするに違いない。
それはつまるところニンゲンの臭いだからである。
私は土に還りたいと願うのだが、そこで再び大竹野さんに
出会うことができるだろうか?
キタモノマサヤ(遊劇体)


虎は死して皮を留め、大竹野さんは死して困ったおっさんたちを残す

大竹野さんの作品とは、氏が去られて対面した。
作品に参加させて頂き、生前の思い出も聞き、
かつて作品を共にした人たちと語らい、そして感じるのは
「そうか…大竹野作品はもう大竹野さんのものではないのだな」ということ。
大竹野さんのものにしておきたい人たちもいる。
そうではないんだ、と知る人もいる。
先輩は作品にて[生きなかった時代と時間]を教えてくれて、
そして、死を生きる事で、作品が飛んでいった先を
今を生きる作り手たちに教えてくれる。
金 哲義(May)